エシレ・マルシェ・オ・ブールのクイニーアマン・ブルー [大阪府大阪市]
三種の神器。
ブーランジェリーの商品タグを深く眺める。
すると、頻出度の高い言葉にめぐり合う。
ゲランド産の塩、ヴァローナのチョコレート、そしてエシレの発酵バターだ。
僕はこれらを「三種の神器」と呼んでいる。
つい最近であるが、大阪の阪急梅田にエシレの専門店がオープンした。
発酵バターはもちろんのこと、アイスクリーム、ケーキなどのお菓子、
そしてクロワッサンも販売している。
エシレの発酵バターは、はっきり言って高価なものだし、
買ったところで素材を活かせるか微妙なところである。
だから、ここは職人に任せておくのがよいだろう。
フランスはブルターニュ地方の伝統的な焼き菓子「クイニーアマン」。
エシレには普遍的な「クイニーアマン・ブルー」と、
塩味の強い「クイニーアマン・ヴェール」がある。
どちらか悩んだものの、普通が一番いいということ、
そして美しい円を描いた「クイニーアマン・ブルー」に心惹かれた。
エシレのクイニーアマンはゲランドの塩も入っているから、
三種の神器のうち、2つを兼ね備えていることになる。
フランスA.O.P伝統発酵バターが塩の甘味を引き立てる。
その味はふわりと口の中で広がり、なめらかに溶けてゆく。
100年以上の歴史を凝縮したエシレのクイニーアマン。
時間をかけて味わいたい一品である。
BGM - Phoenix / 1901
パン工房ルモンドのあんフランス [大阪府大阪市]
小さい頃からあんパンが好きだった。
そのものには中毒的な旨さがある。
あんパンを知らない国は一体いくつ存在するのか?
おそらく、フランスにはあんパンはないだろう。
あの国のブーランジェはフランスパン生地にあんこが合うことを知らない。
また、「あんバター」の驚異にも気づいていないはずだ。
フランスではバゲットを求める行列ができるそうだが、
一度でいいからあんパンを求めるパリの人々を見てみたい。
そんなことが起きたらル・モンド紙も黙っちゃいないはずだ。
新聞の一面を飾る日も近い。
BGM - Air France / No Excuses
イグレックプリュス+大丸梅田店のシナモンロール [大阪府大阪市]
シナモンロールの身長。
中学に入るまではクラスの中で身長が一番高かった。
そのときは優越感に浸っていた気がする。
先頭になる機会が多かったから、気持ちが良かったのだろう。
そんな期間もさっさと終わり、中学2年のときには
20番目くらいになってしまった。
成長が早かっただけである。
シナモンロールには身長差がある。
だから何となく、それは自信に溢れているように見える。
イグレックプリュス+のシナモンロールはフィンランド型ではないけど、
背が高い。
加えてざらめの砂糖を使っているから、北欧っぽいシナモンロールだ。
今では背が高くても低くても気にしないし、
加えて言えば、身長は171cmでストップしたことだし、
日本人の中では平凡な方だろうと思う。
どうやら北欧の人は世界的に見ても平均身長が高いらしい。
高さのあるシナモンロールの理由が少し理解できた気がする。
BGM - Team Me / Show Me
オレノパンオクムラ祇園店のバゲット・ルヴァン [京都府京都市]
オレノパンは敷居が高いというイメージを持っていた。
何故なら京都祇園の高級フランス懐石のお店が
ブーランジェリーを展開しているという理由から。
何となく、であるが、僕のような人間が近寄ってはいけない、
(それはあのレトロドールのお店「VIRON」にも持っていた)
そんな気がしていて。
オレノパンオクムラ祇園店は、駐輪場の向かい側にある。
実はフラっと来れるのだ。
高級料亭に挟まれていると思いきや、近くには天下一品もある。
少々滑稽な場所である。
であるから、僕も気軽に入ることができる。
このバゲット・ルヴァンはがっちりとしたクラストが美味しい。
断面を見ても分かるとおり、気泡も大きくて、大胆だ。
この「大胆さ」が、伝統の地で受け継がれてきた
繊細な味をより引き立てるのだろう。
一生出来ないかもしれないが、懐石料理をサンドして食べてみたい。
BGM - Blur / Beetlebum
ドミニク・サブロン マルシェ・エ・カフェ ルクア大阪のパン・オ・ショコラ [大阪府大阪市]
芸術的なヴィエノワズリー。
初めてカンパーニュを見たとき、その美しさが時間を止めた。
一枚一枚の均等な厚み、そして美しく折り重なる生地の層。
それらは繊細でいて、もろいのだ。
そのものに衝撃を与えないよう、慎重に手にしなければならない。
職人の手によって最高のパン・オ・ショコラが生成される。
1つの値段は250円を超える。
それは高いかもしれない。
だが、何にも代えられない価値が存在していることに
疑いの余地はないのだ。
パリの風は吹いているか。
BGM - M83 / Don't Save Us from the Flames
まるき製パン所のサンライス [京都府京都市]
ユニクロの創業祭ってあるでしょう。
「ユニクロは家から近いし行ってみるか」という感じで、朝5時半に自転車で出発。
開店は6時だし、こんなに早くからは誰も並ばないだろうと考えていた。
しかし、甘すぎた。
開店15分前に到着すると、すでに500人くらい並んでいる。
早起きしたし、ここまで来たし、ということで、一応並んでみる。
当然、入場規制がかかり、店内に着いたのは6時半。
ネタとしてのあんぱんと牛乳の配布は終了している。
商品を見ても特に欲しい物もないし、極めつけはレジ待ちの大行列だった。
完全に戦意を喪失し、帰路へ着くこととなった。
帰り道、商店街を通ることにした。
まだシャッターが降りている時間帯だ。
土曜日だったのにもかかわらず、人の出入りが多いお店を見つけた。
それが「まるき製パン所」に初めて行ったときの話だ。
僕はハムロールやコロッケパンを買い、自転車に乗りながら
無性になってかじりついた。
うますぎた。
早起きして無駄に並んで何もせずに家に帰る自分をなぐさめてくれた。
おいしさですべてが吹っ飛んでいった。
それから2年以上の月日が流れたが、まるき製パン所は何も変わらない。
日が昇るとお店に人が集まる。
日の出の時間に起きた日は、太陽の様に見えるサンライスを買いに行く。
BGM - Eagles / Tequila Surise